フォイリング・タック成功!

SoftBank Team Japan preparing in Bermuda for the 35th America's Cup
© Matt Knighton

ソフトバンク・チーム・ジャパンは、練習艇であるAC45Sでのトレーニングにおいて、フォイリング・タック(※)に成功しました。
  ※フォイリング:水中翼を使い、船体が海面を飛ぶように進むこと
  ※タック:風上に向かって進んでいる状態で方向転換を行うこと

アメリカズカップにおける最高難度の目標であったフォイリング・タック。これを達成できたということは、理論上、フォイリングしたままレースコース全体を周ることが可能になったということです。2017年のアメリカズカップ本戦へ大きく影響する偉業を成し遂げたのです。

「フォイリング・タックは実現可能なことで、達成できればアメリカズカップ全体に大変革をもたらすだろうとずっと感じていました。すでに他のチームも我々がフォイリング・タックに成功したことを知っており、これから熾烈な競争が始まるでしょう。フォイリング・ジャイブ(※)のコツは、様々な風のタイプにおけるヨットの設定やテクニックを理解することです。フォイリング・タックにおいても、同じようなコツが必要になるでしょう」(スキッパー兼CEO, ディーン・バーカー)
  ※ジャイブ:風下に向かって進んでいる状態で方向転換を行うこと

この新しい技術の導入により、2017年のアメリカズカップシリーズにおいて、風上に向かう際の戦略が大きく変わってくるでしょう。フォイリング・タックでは、タックの際に生じる減速の幅をより小さくすることが可能になります。2013年大会時の艇と比べても、距離にして数百メートルをも稼げる計算となります。

「ヨットがフォイリングを保つためには、一定以上の速度をキープする必要があります(通常16~18ノット)。タックの際に必要な最低速度は13-14ノット程度となります。そのため、通常は、どのチームもタックに入る直前のスピードをいかに保つかに苦心するのです。タックの際の減速により、4艇身にも及ぶ距離を失うことも珍しくありませんでしたが、フォイリングしたままタックができるようになると、この距離のロスが大幅に改善されるわけです」(バーカー)

ソフトバンク・チーム・ジャパンは、今年4月19日、オラクル・チームUSAと共にトレーニングをしている際、フォイリング・タックに初めて成功しました。

「良い風が吹き、フォイリング状態をキープしたままタックに入ることができました。同じ日に再び成功し、フォイリング・タックが偶然の出来事ではないことを確信しました。それ以来数か月がたちますが、成功の確率も上がってきています」(バーカー)

フォイリング・タックの成功は、加速する新しいフォイリング・カタマラン艇の開発にも影響する大きな側面となるでしょう。

2013年大会に向けた準備の中で、当時のAC72クラスのヨットで初めてフォイリングに成功したのは、バーカーの率いるチームでした。以来、フォイリング・ジャイブの技術などが大きく進んだのです。
今再び、バーカーが新しいタック技術によってチームを更に前に進めようとしています。目指すところは、レースコース全体を通して一度も船体を海面に付けることのないパーフェクトなセーリングです。

「この至高の技により、スタート時点からフォイリングをし、レース中に一度も船体を濡らさないということも、もはや夢物語ではなくなりました。最終的に目指すべき究極の目標です」(バーカー)

タクティシャンであるクリス・ドレイパーは、この新しい技をマスターすることは、アメリカズカップ全体の様相を変えてしまう可能性すらあると考えています。

「モス級のようなフォイリング艇であれば、この技の習得により、実に多様なレース展開を行うことができるようになります。フォイリングさせてコース内をただ進むものではなくなり、状況に応じてより多くのタックができるようになるのです。レースはさらにエキサイティングなものとなり、観客も楽しめるでしょう」(ドレイパー)

2017年のアメリカズカップ本戦に向けて、他のチームも同じ技を習得してくると思われます。今後ますます競争は激しくなるでしょう。とはいえ、いち早く新技に成功したソフトバンク・チーム・ジャパンは、今後はチームのリソースを、技を完璧にこなしていくことに集中できます。

「未来の事と思っていたことが、今となっては現実のものとなりました。つまり、どのチームでも同じことを身につけることが出来るということです。それでも早い段階で仕組みを理解できることは良いことです。今後数ヶ月かけて、他のチームのすばらしいタックも見ることができるでしょう」(バーカー)