福岡大会2日目

© Ian Roman

2016年11月20日、2017年に英領バミューダ諸島で行われる世界最高峰のヨットレース、第35回アメリカズカップの予選シリーズである「ルイ・ヴィトン・アメリカズカップ・ワールドシリーズ」(以下「LVACWS」)第9戦福岡大会の本番レース2日目は、得点が2倍になるスーパーサンデーです。曇り空のなか、レースビレッジとなる福岡市地行浜には7,740人以上の観客が押し寄せ、海上には150艇の観覧艇が集まりました。

正午の時点で風向は北、風速は4~5m/sと前日よりも少し弱い風でしたが、その後さらに風速が落ちてしまい、スタート予定時刻の午後1時には風速2m/sに。このためスタートが延期され、第1レースは午後1時7分にスタートしました。レース中の風速は3m/s程度と、水中翼(フォイル)で艇体を浮かせて帆走するフォイリングが見込めない風でしたが、このわずかな風をつかんで最高のロケットスタートを決めたのはソフトバンク・チーム・ジャパン。しかし、その後わずかに艇速が上回ったグルパマ・チーム・フランスに風を遮られ、第1コーナーを2位で回航します。まだまだトップを狙える好位置でしたが、ここで風が北東に大きく振れたことにより、順位が大きく変わってしまいます。それまで4位を走っていたアルテミス・レーシング(スウェーデン)が一気にトップに躍り出た一方で、2位を走っていたソフトバンク・チーム・ジャパンは6位まで順位を落としてしまいます。風が一度振れるだけでこれだけの差が出てしまうところも、ヨットレースの難しいところです。その後、レースを諦めずチャレンジし続けたソフトバンク・チーム・ジャパンは一つ順位を上げて、5位でフィニッシュしました。

第2レースも風速が上がらず、風速3~4m/sの状況のなかで、静かにスタートしました。いつものように強気に攻めるソフトバンク・チーム・ジャパンでしたが、わずかに船首をスタートラインから出してしまい、リコール(フライング)となってしまい、地行浜の観戦エリアからは深いため息がもれます。得意のロケットスタートを決められなかったソフトバンク・チーム・ジャパンは、6位で第1マークを通過。いつもの闘志で先行艇を脅かす強烈なプッシュを何度も見せますが、フィニッシュは6位。非常に辛いレースが続きます。

最終の第3レースは、少しだけ風速が上がり4~5m/sのなかでスタート。「LVACWS」では、各チーム6人目のクルーとしてゲストクルーの搭乗が義務付けられており、ソフトバンク・チーム・ジャパンは、第3レースにタレントの小島瑠璃子さんが搭乗。父親がセーラーで、ご自身もウインドサーフィンの経験があるマリンガールです。そんな勝利の女神を乗せたソフトバンク・チーム・ジャパンは完璧なロケットスタートを決め、艇団から船首を出してスタートラインを切ります。しかしこの日、何度も良いスタートを決めているグルパマ・チーム・フランスがまたもソフトバンク・チーム・ジャパンの風上側に回り、第1コーナーはグルパマ・チーム・フランスが奪取。ロケットスタートのお株を奪われたソフトバンク・チーム・ジャパンのディーン・バーカー艇長は、その怒りを闘志に変え、激しい追い上げを見せます。しかし、フランク・カマ艇長率いるグルパマ・チーム・フランスもそう簡単に抜かせてはくれません。風速も徐々に上がり、豪快なフォイリングシーンが増え始めると、会場の観客もヒートアップ。2位につけ、巻き返しを狙うソフトバンク・チーム・ジャパンにも歓声が集まります。しかし、追い上げむなしく、ソフトバンク・チーム・ジャパンは2位でフィニッシュ。最後は気持ちの良い走りで締めくくり、福岡大会を終えることができました。
ソフトバンク・チーム・ジャパンは、福岡大会総合5位。ルイ・ヴィトン・アメリカズカップ・ワールドシリーズ全9戦通算の総合成績はランドローバー・BAR(512点)が優勝、ソフトバンク・チーム・ジャパンは5位(460点)となりました。

■早福(そうふく)和彦総監督兼選手のコメント
「率直に残念な結果でした。しかし、最終レースで2位でフィニッシュすることができたのは良かったですね。これまでやってきたチームの努力の成果を出すことができました。今回の福岡大会開催にあたって、多くの日本のファンの皆さんから大きな声援をいただいたことは本当に力になりました。アメリカズカップで初めてヨットを知ったという方もいたと思います。日本でもセーリングがもっと盛り上がるとうれしいです。繰り返しになりますが、会場からの大きな大きな声援は、レースをする私たちにしっかり届いていました。本当に、感動しっぱなしの二日間でした。これからは次の予選に向けてさらにがんばります」

■ディーン・バーカー艇長のコメント
「とてもフラストレーションの大きな一日でした。多くのミスがあり、最初の2レースは良い結果が残せませんでした。最終レースで2位になったことは本当に良かったです。福岡に入る前は、どのように日本の皆さんに迎え入れてもらえるのか分かりませんでしたが、たくさんの皆さんに見に来てもらいたいと望んでいました。そして、こんなにたくさんの日本のファンの皆さんに来場していただき、そしてこれだけ力強いサポートを得ることができたことはすばらしいことでした。多くの皆さんにAC45Fを間近で見ていただき、フォイリングも見てもらえたことはよかったです。明日はバミューダに戻り、その後はトレーニングプログラムに従ったセーリングをスタートします。同時に、新しい艇の進水に向けて準備していきます。これまでの新艇開発の進展には満足しています」

■クリス・ドレーパー選手のコメント
「本来の力を発揮できず残念でした。第1レースは、スタートは良かったのに、途中でチャンスを逃しました。第2レースは可もなく不可もなくで、平均点のレースでした。第3レースでやっと悪くないレースができました。チームとしては、今日はフラストレーションの大きな日でしたが、このイベントで学んだことは多くありました。バミューダに戻ったら、調子を整えてまたがんばります。本当は、日本のファンの前でもっとかっこいいセーリングを見せたかったのですが、それができず残念でした。でも、多くのサポートと、大きな声援をもらえたことは本当にうれしかったです。ありがとうございます」

■吉田雄悟選手のコメント
「ついにワールドシリーズが終わりました。今回の結果は仕方がなかったと思います。しかし、この『仕方がない』を一つずつ減らしていけばいいだけです。本番はこれからです。福岡では多くの温かい声援をありがとうございました!」